AM症例報告作成ガイド

AM CASE REPORT — WRITING GUIDE

AM症例報告 標準フォーマット・作成ガイド

アクティベータ・メソッド(AM)による施術を、そのまま学術的な記録として残すための書き方をまとめたガイドです。 テンプレート(Word)の各項目に「何を・どこまで・どう書くか」を、項目ごとに解説しています。 AM単独の症例も、PCRTハード面調整を併用した AM × PCRT 症例も、この書式で作成できます。

発行:Activator Network Japan(ANJ) / 監修:保井 志之(AMI公認 日本地区ディレクター・ANJ代表)

【書式改訂のお知らせ/2026年8月・テンプレート v4】 実際の査読を通して、記入の判断に迷いやすい箇所が見つかりましたので、テンプレートと本ガイドを改訂しました。主な変更は次の3点です。
Ⅰ. ⑤患者情報に 「医科的所見・除外診断」 の欄を新設しました。医療機関での検査・診断の有無とその結果、専門医への受診が必要と考えたかどうかを記載していただきます(Ⅰ. ⑥発症からの経緯に書いていただいても構いません)。
評価スケールの記入場所を明確にしました。 Ⅱ. 通院経過の②数値化が、その回の記録原本です。Ⅰ. ⑦の評価スケール表は、そこから転記した一覧です。両者の数値は必ず一致させてください。
実施しなかった検査・調整の欄は、空欄にせず 「未実施」または「該当なし」 と記入してください。空欄のままだと、実施していないのか記載漏れなのかが読み手に伝わりません。
いずれも査読で確認する項目です。作成前に最新版のテンプレートをダウンロードしてください。作成途中の方は、該当箇所を書き足していただければ、そのままご提出いただけます。
※ 前回改訂で新設した 「Ⅳ. 倫理的配慮【必須】」(参考文献はⅤに繰り下げ)も、引き続き必須項目です。記載要件はG章を参照してください。

DOWNLOAD書式のダウンロード

Wordファイル(.docx)です。「Wordでダウンロード」を押すとお使いのパソコンに保存されます。 Googleドキュメントで開いて編集することもできます(その場合は[ファイル]→[コピーを作成]からご自身のドライブに複製してください)。

WORD テンプレート AM症例報告 テンプレート(空欄) 記入用の書式です。Ⅱ章の通院経過は、通院回数分だけブロックを複製して使います。 Ⅰ. ⑤に「医科的所見・除外診断」の欄があり、Ⅲ. 考察のあとにⅣ. 倫理的配慮【必須】、Ⅴ. 参考文献【任意】が続きます。 巻末に、変位(リスティング)の記載例と基本表記の一覧を付録として収録しています。 Wordでダウンロード Googleドキュメントで開く
WORD 記入見本 AM症例報告 記入見本
(陸上選手の腰椎分離症・全9回)
掲載済みの症例報告を、同じテンプレートに記入した見本です。 原報告に記載のなかった欄はグレーで示してあり、どこを埋めるべきかが一目で分かります。 Ⅰ. ⑤医科的所見・除外診断、Ⅳ. 倫理的配慮(未成年・保護者同意のケース)の記入例も収録しました。 回数の多い症例をまとめて書く場合の書き方(5〜7回目)も参考になります。まずこちらに目を通してから記入すると迷いません。 Wordでダウンロード Googleドキュメントで開く

Aこのガイドの目的と対象

AMセミナー受講者・認定を目指す施術者・AM認定施術者が、日々の臨床をそのまま症例報告として提出できるようにするための手引きです。 書式が統一されることで報告どうしを比較でき、蓄積が「AMの臨床エビデンス」として意味を持ちはじめます。

対象
AMセミナー受講者/AM認定を目指す施術者/AM認定施術者
用途
AM認定の要件としての症例提出/ AM臨床ノートへの掲載審査/ AMセミナーでの症例プレゼンの元原稿
使用書式
AM症例報告 テンプレート(空欄・コピペ用)(Word)。Ⅱ章の通院経過は、通院回数分だけ複製して使います。記入例は 記入見本を参照してください。
分量の目安
A4で4〜10ページ程度。回数が多い症例は、変化のあった回を中心に記載し、変化の乏しい回はまとめても構いません(まとめた旨を明記。ただし4指標の数値は各回分を残します)。
査読の体制
複数名の査読者が所定の査読シートに記入し、編集長が集約して判定します。指摘は編集部が匿名化のうえ1通の「修正依頼書」にまとめてお返しします。査読は掲載に向けた支援の工程です。

掲載済みの症例報告(実例)

実際にAM臨床ノートへ掲載された報告です。テンプレートに記入する前に、完成形として目を通しておくと迷いが減ります。

BAM症例報告は何を示す報告なのか

AMの調整対象は神経関節機能障害(neurological joint dysfunction/サブラクセーション)です。 心理面・記憶面まで扱うPCRTと比べると、AM単独で扱う領域は「ハード面(構造・反射系)」に限られます。 しかし報告としての価値はそこで下がるのではなく、別の種類の強みに変わります

AM症例報告の強みは「その場で確かめられること」

AMでは、1回の施術のなかで次の3つが必ずセットになります。

1 検査で見つける レッグチェックで全身をスクリーニングし、アイソレーションテスト・ストレステスト・プレッシャーテストで、どの脊椎・関節レベルかを絞り込む。
2 調整する 特定した部位だけを、アクティベータ器で調整する。
3 もう一度検査する 同じ検査を行い、反応が消えたか(陰性化したか)をその場で確かめる。

この3つを毎回記録すれば、「なんとなく腰が悪そうだから腰を触った」ではなく、 「検査で神経関節機能障害と同定した部位を調整し、その場で陰性化を確認した」と書けます。 根拠と結果が毎回そろう——これがAMだからこそ書ける記述です。

報告全体では「2本の線」を並べて示す
検査所見の線 毎回どこが陽性で、調整後に陰性化したか
症状スケールの線 NRS・予期不安・CGI-S・CGI-I の推移
この2本が連動していれば、報告に説得力が生まれます。ずれていた場合も、そのずれ自体が考察すべき論点になります。 どちらか一方だけでは、AM症例報告としては半分です。

対象となる症状タイプ

AM症例報告は次のタイプを対象とします。どのタイプでも書式(テンプレート)と評価スケールは共通です。異なるのは「検査で何を診るか」という着眼点だけです。

1 筋骨格系症状 脊椎・骨盤・四肢関節の痛み、可動域制限など。目安検査とレッグチェック/アイソレーションテストの対応を丁寧に記録し、調整対象が回を追ってどう移動したか(土台→患部→末端 など)を追う。
2 スポーツ障害 競技動作に伴う障害・外傷後の機能障害。受傷機転と医科的所見・除外診断の記載が要。練習量・大会予定など負荷の変化を各回に併記すると、症状の戻りとの関係が読み取れる。
3 神経系症状 神経痛・しびれ・頭痛など。責任高位の絞り込み過程と、調整後の症状分布の変化を対で記録する。医科的除外診断への言及は特に重要。
4 めまい・平衡感覚に関する症状 頸部・後頭骨・顎関節の所見に加え、転倒への不安が動作を制限していることがある。予期不安のスケール化が有効。
5 慢性疼痛 経過が長く、改善が頭打ちになりやすい。ハード面の調整で反応が止まった時点の判断(ソフト面の必要性を含む)を記録すると、報告としての価値が高まる。
6 自律神経系症状 機能的な愁訴。身体系の所見と症状スケールの連動を丁寧に追う。PCRTを併用した場合はEB検査の所見を併記する。
7 その他 上記に分類しにくい症状。分類に迷う場合は事務局にご相談ください。

※ 分類は排他的なものではありません。たとえば競技中に生じた腰痛は「筋骨格系症状」と「スポーツ障害」の両方に該当します。該当するものをすべてお書きください。

AM単独症例と AM × PCRT 症例

AM臨床ノートは、どちらの形式も受け付けています。テンプレートは共通で、Ⅱ章④に併用欄が用意されています。

AM単独症例 検査・調整ともにAMのプロトコルで完結した症例。目安検査(施術前検査・理学的検査法を含む)・レッグチェック・アイソレーションテスト・ストレステストの所見と、調整部位・変位(リスティング)を丁寧に記録します。
AM × PCRT 症例 AMを軸としつつ、PCRTハード面調整(意念調整法・経絡調整 等)を併用した症例。EB検査の所見を併記し、④調整法をAM/PCRTの2ブロックに分けて記載します。掲載済みのNo.01・No.02はいずれもこの形式です。
PCRT症例報告との使い分け
判断の基準は 「施術の中心がどちらにあったか」です。AMのプロトコルによる検査・調整が軸であればAM症例報告、 誤作動記憶(身体系・エネルギー系・情報系)の特定と書き換えが軸であればPCRT症例報告を使います。 どちらの様式でも、併用したもう一方の関与は考察に記載してください。判断に迷う場合は事務局にご相談ください。
ソフト面の関与が疑われた場合も、そのまま書く
「メンタル面の関与が疑われたが、ハード面の調整で反応が示され効果が得られた」「ハード面の調整で反応が頭打ちになり、ソフト面のアプローチが必要と判断した」—— こうした 臨床判断そのものが、報告として最も価値のある部分になります。 改善しきらなかった症例も、理由が書かれていれば十分に報告に値します。

C全体構成(5部構成)

Ⅰ. 基本情報 報告者情報+①〜⑧。誰が・どんな患者を・どういう問題意識で報告するのかを提示し、経過を数値と1枚のグラフで示します。⑤に医科的所見・除外診断の欄があります。
Ⅱ. 通院経過 1回ごとの記録。愁訴/数値化/施術前の検査(AM分析)/調整法/特記事項の5点セットを、回数分くり返します。数値の記録原本はここです。
Ⅲ. 考察 Ⅰ③で立てた問いに答える章。何が決め手で、何が難しかったのかを言語化します。
Ⅳ. 倫理的配慮 【必須】公開同意の取得時期・取得方法・保護者同意の有無と、報告に掲載する一文を記載します(2〜3行)。
Ⅴ. 参考文献 本文中で引用した場合のみ記載。引用がなければ削除して構いません。

書く順番のおすすめ

報告は、書式の①から順番に書く必要はありません。手元の記録がそのまま使える章から埋めるほうが早く仕上がります。

1 Ⅱ. 通院経過 カルテを見ながら、1回ずつ書き写す。ここが埋まれば報告の半分は終わりです。
2 ⑦スケール表・⑧グラフ Ⅱ章②の数値を並べ替えて転記するだけ。グラフにすると経過の形が見えてきます。転記後に、Ⅱ章②と数値が一致しているか確認してください。
3 Ⅲ. 考察 グラフを眺めながら、何が決め手だったか、どこが難しかったかを書く。
4 Ⅳ. 倫理的配慮 カルテに控えた同意の取得日・方法を転記し、該当する選択肢を残して他を削除するだけ。1〜2分で終わります。
5 ②症例要約 ここまで書けば、要約に入れるべき数値と要点は出そろっています。
6 ③はじめに 「なぜこの症例を報告するのか」を2〜4行で。
7 ①タイトル 最後に、症例全体を一文で言い表す。

①タイトルと③はじめには「この症例の読ませどころはどこか」を一言で示す欄です。経過と考察を書き終えたあとのほうが、的確な言葉が見つかります。

DⅠ. 基本情報 ①〜⑧の書き方

報告者情報 必須
報告者氏名/所属(施術院名)/臨床歴(開業歴)/AM歴/PCRT歴(併用症例の場合)/報告日。
① タイトル

症状+辿り着いた核心を一文で。患者名は出さず匿名化します。

改善の余地あり腰痛の一症例
推奨陸上選手の腰椎分離症 ―― コルセット固定・3ヶ月安静の指導下にありながら、競技を継続しつつ神経関節機能障害の調整によって完治に至った一症例

結果の表現には注意してください。判断の基準は症状の程度(NRS)と主訴の残存であり、予期不安ではありません。 最終回のNRSが0で、主訴が消失し日常生活・競技動作に支障がなければ、「完治」と記載して差し支えありません。 予期不安は0でなくてかまいません。症状が消えても「また痛むのではないか」という感覚がしばらく残るのは自然であり、1程度の残存は「完治」の記載を妨げません。

一方、最終回にNRSが1以上残っている場合や、「たまに痛むことがある」など症状の残存が本文に書かれている場合は、「完治」ではなく 「症状消失」「NRS 6→1へ大幅改善」「競技への完全復帰」など、記録に沿った表現を用いてください。 なお「完治」は主訴が消失した状態を指す語であり、再発しないことを保証するものではありません。 タイトル・②症例要約の結果欄・Ⅲ考察の3か所で、表現が食い違わないようにします。

② 症例要約
主訴/結果/通院回数/治療期間/1回の治療時間/経過の要点/特記事項。 ここだけ読んで全体像がつかめることが目標です。数値(NRS 6→0、全9回、約5週間 など)を必ず入れてください。1回の治療時間は、AMの短時間・低刺激という特性を示す情報になります。
結果欄の表現は、 最終回の数値と食い違わないように(「完治」の目安は①タイトルの項を参照)。
③ はじめに 必須

この症例を取り上げる理由だけを2〜4行で書きます。何を確かめたかったのか、どこが臨床的に興味深いのか。

患者像や結果は②症例要約・⑤患者情報に書くため、ここでは繰り返しません。
②=何が起きたか/③=なぜ読む価値があるか、という役割分担です。Ⅲ. 考察は、ここで立てた問いに答える形で書くとまとまります。

④ 主訴・患者の愁訴 必須
どの部位に・どんな時に・どんな症状が出るか。AMでは特に 動作や姿勢との関係(どの動きで増悪し、どの姿勢で軽減するか)が重要です。「走ると腰が痛む/全力で走れない/腰部回旋・前屈時に腰が痛む」のように、動作と症状を対で書きます。
⑤ 患者情報(匿名化) 必須
年齢・性別/職業/患者の特徴/既往/発症時期/ 医科的所見・除外診断
「患者の特徴」には、症状に関係する 身体的な負荷要因(競技種目と練習頻度、作業姿勢、反復動作、利き手 など)と、施術の進め方に影響した性格傾向を書きます。
「医科的所見・除外診断」には、医療機関での検査・診断を受けているか、受けている場合はその結果(画像所見・診断名など)を記します。受けていない場合や、検査で異常が認められなかった場合も、そのとおりに書けば十分です。 一文で構いません。⑥発症からの経緯に書いてもかまいません。
氏名・詳細な地域・学校やチームの固有名など、個人が特定される情報は排除してください。
⑥ 発症からの経緯 必須
現状・治療歴・既往・思い当たる原因。外傷歴がある場合は 受傷機転(いつ・どんな動作で)を明記します。 他院での診断・指導内容(診断名、固定・安静の指示、リハビリ経過など)は、経過を読み解く前提として重要です。医師の診断は「医師により〇〇と診断されている」と出所を明記してください。
あわせて、 専門医への受診が必要と考えたかどうか、その判断の根拠にも触れてください。AMが対象とする領域には、構造的破綻を伴う症例が含まれえます。医科的除外診断や安全性への配慮が読み取れないまま掲載されると、読者の誤解を招きます。
⑦ 評価スケール

4指標を毎回記録します。定義を最初に書き、毎回同じ条件で測ることが何より大切です。

指標 範囲 評定するのは 内容
症状の程度(NRS) 0〜10 患者 患者の主観。0=症状なし、10=これまでで最もつらい状態。いつの症状か(例:来院時/過去1週間で最も強かったとき)を定義して統一します。
予期不安 0〜10 患者 「その動作をするとまた痛むのではないか」という不安の強さ。競技復帰を目指す症例では、症状が消えた後も残ることがあり、復帰の実質的な障壁になります。
CGI-S(重症度) 1〜7 施術者 施術者による重症度評価。毎回評定します。1=正常、7=極めて重度。
CGI-I(改善度) 1〜7 施術者 初回と比べた改善度。第2回以降に評定。1=著明改善、4=変化なし、7=著明悪化。
この表は「転記の一覧」です。 4指標は、その回の施術時に Ⅱ章②数値化へ記入します。そこがその回の 記録原本で、この⑦の表はそれを全回分並べた一覧、⑧のグラフはこの表から作ります。
Ⅱ章②と⑦の数値は必ず一致させてください。食い違う場合はⅡ章②が正です。⑦に毎回の数値が入っているのに、Ⅱ章②が「初回のみ評定」「―」となっていると、経過が実際にどう評定されたのかを読み手が追えません。 評定していない回は、空欄ではなく 「未評定」と記入します。

※ 通院回数が6回以上になる場合は列を追加してください。可動域・動作時痛など機能面を追う場合は「機能指標」の行を追加しても構いません(1つに絞り、全回で同じ条件で測定)。

⑧ 治療経過グラフ
⑦の推移を 1枚の折れ線グラフにまとめます。4指標をすべて同じグラフに重ね、凡例で区別できるようにしてください。Y軸は上端(10)で点が欠けないよう、最大値を10.4程度に設定します。ExcelでもGoogleスプレッドシートでも構いません。

EⅡ. 通院経過の書き方(AM分析の記載ルール)

この章がAM症例報告の中核です。1回ごとに ①患者コメント ②数値化 ③施術前の検査 ④調整法 ⑤特記事項 の5点を記録します。 テンプレートのブロックを通院回数分だけ複製して使ってください。

各回の冒頭に日付と間隔を入れる

「初回:2026年3月28日/2回目:2026年3月31日(前回から3日後)」のように、間隔がわかる形で書きます。施術間隔は経過の解釈に直結するため、省略しないでください。

① 患者のコメント(愁訴)

2回目以降は、前回施術後の変化を必ず入れます。「施術直後は楽だったが翌朝に戻った」「3日目までもった」といった持続時間の記述は、調整の妥当性を判断する材料になります。競技者の場合は、練習量・大会予定など負荷の変化も併記してください。症状が一時的に戻った回が、練習量を上げた時期と重なることはよくあります。

② 数値化

4指標(症状の程度NRS・予期不安・CGI-S・CGI-I)を、その回の施術時にこの欄へ記入します。 症状の程度と予期不安は患者の主観、CGI-SとCGI-Iは施術者の評定ですが、いずれもその場で評定されるものです。 この欄がその回の記録原本であり、Ⅰ章⑦のスケール表へは、ここに記入した値を転記します。

あとからまとめて埋めるのではなく、評定した時点で残すことが記録の正確さにつながります。 評定していない回がある場合は、空欄ではなく「未評定」と記入してください。 回数の多い症例で数回をまとめて記載する場合も、4指標の数値は各回分を残します(記入見本の5〜7回目が例です)。

③ 施術前の検査(AM分析)

テンプレートでは次の層で記載します。

一般的検査 可動域、圧痛、動作痛、整形外科的検査など。症状そのものの状態を示す検査。実施したうえで異常がなければ「実施、異常なし」と書きます。「特記なし」だけでは、何を確認したうえでの判断なのかが伝わりません。
目安検査 症状を再現する動作・肢位(例:腰をベッドから浮かす/腰部回旋/右肘最大屈曲)。毎回同じ検査を使うことで推移が読めます。施術前後で行い、その回の施術効果を示します。
レッグチェック/
アイソレーションテスト・
ストレステスト
AMプロトコルの中核。下肢長の反応を指標に全身をスクリーニングし、関与する脊椎・関節レベルをアイソレーションテスト・ストレステストで同定します。どの反応から当該レベルを絞り込んだかを記録すると、他の施術者が追試できる報告になります。
EB検査
(PCRT併用の場合)
PCRTを併用した場合のみ記載します。EBの「系」まで表記してください(例:腰椎4-5番 右靱帯系)。併用していない回は「該当なし」と記入します。
調整後の再検査 調整後に同じ検査を行い、陰性化・下肢長差の均等化を確認した結果。
AM症例報告で最も記録が必要な箇所は「アイソレーションテスト・ストレステストの所見」と「調整後の目安検査の再検査結果」です
調整前が陽性で、調整後に陰性化したことが確認できて、はじめて その回の調整が意図どおり働いたと言えます。 考察でプロトコルに言及していても、各回の記録に AMのどの部位を調整したのか症状に関連する目安検査がどう変化したのかが書かれていなければ、読み手はその根拠をたどれません。 陰性化しなかった場合も、そのまま記録してください。 思わしくない結果こそ、読み手にとって学びのある情報です。
未実施・該当なしの欄は、空欄にしない
実施しなかった検査・調整の欄には、 「未実施」または「該当なし」と記入してください。 空欄のままだと、実施していないのか記載漏れなのかを読み手が判断できず、査読でも確認事項になります。 その回にまったく該当のない表は、 表ごと削除して構いません

④ 調整法 ― 変位(リスティング)の書き方

神経関節機能障害部位(骨盤/腰椎部/胸椎部/頸椎部/肋骨部/頭蓋部/上肢部/下肢部)ごとに、詳細部位・変位・調整後の再検査結果を記入します。 変位はAMI標準のリスティング表記で統一し、脊椎は棘突起指標で表記してください。表記が揃うことで、報告どうしの比較が可能になります。

記載例

神経関節機能障害部位 詳細部位 変位(リスティング) 調整後(再検査)
骨盤 腸骨 PI(後下方) 陰性化
腰椎部 L5, L4, L2 PR(右回旋) 陰性化
胸椎部 T12, T8, T6, T4, T1 PR(右回旋) 陰性化
頸椎部 C7, C5, C2 PR(右回旋) 陰性化
C2 PL(左回旋) 陰性化
下肢部 右膝関節 脛骨前方、脛骨外旋 陰性化
右膝蓋骨 外方 陰性化
改善の余地あり腰椎を調整した。
推奨腰椎部/L5, L4/PR(右回旋)/調整後、目安検査(腰部回旋)陰性化

変位(リスティング)の基本表記

AM標準の基本リスティングです。詳細はセミナーテキストを参照してください。

領域 変位
PD下肢 右/左
腸骨 後下方(PI)/前上方/内方/外方
仙骨 上方/下方/外方/回旋/後上方/前下方
坐骨 外方/内方
恥骨 上方/下方/外方/前方
脊椎(L5〜C1) 棘突起指標で表記:回旋(右回旋=PR/左回旋=PL)/側方/上方/下方
肋骨(椎骨連動変位以外) 外方/上方/下方
後頭骨 後方/外方
TMJ(顎関節) 前方伸展/上方/外方/前方/後方
四肢関節 前方/後方/外方/外旋/内旋/上方/下方 など

あわせて、AM調整の内容(ベイシック/アドバンス)と使用器具・フォース設定を記載します。成長期の小児、高齢者、急性期など設定を変えた場合は、その判断理由も添えてください。低力であることは、骨折既往のある部位にも安全に介入できる根拠になります。

PCRTを併用した場合は、PCRTハード面調整の欄に内容(意念調整法、経絡調整、脳リンク 等)を記載し、その回になぜその調整を選んだのか(検査所見との対応)を⑤特記事項に一言添えると、併用症例としての位置づけが明確になります。

⑤ 特記すべきコメント

患者の反応、施術後の変化、次回への申し送り、生活指導・自宅トレーニングの内容など。次の回の判断につながった観察を残しておくと、経過全体の筋道が読み手に見えます。方針を患者・保護者と相談した経緯も、ここに書きます。

回数が多い症例のまとめ方
10回を超えるような症例では、全回を同じ密度で書く必要はありません。 変化のあった回(初回・転機となった回・最終回)を詳しく、変化の乏しい回は「4〜6回目:同様の調整を継続。NRS 3で横ばい」のようにまとめて構いません。 まとめた場合は、その旨を明記してください。ただし ②数値化の4指標だけは、まとめた回についても各回分を残してください。⑦のスケール表と対応が取れなくなるためです。

FⅢ. 考察の書き方必須

考察は「経過の要約をもう一度書く場所」ではありません。Ⅰ③で立てた問いに答える場所です。次の4点を順に押さえると、自然にまとまります。

1 対応関係 どの部位の神経関節機能障害が、症状の推移と対応していたか。くり返し陽性となった部位はどこか。調整対象が回を追ってどう移動したか(土台→患部→末端 など)。
2 連動 検査所見の陽性→陰性と、症状スケールの変化はどう連動したか。ずれがあった場合は、その解釈。
3 決め手 改善の転機はどこだったか。施術間隔、生活指導、負荷の調整、患者・家族との方針合意など、調整以外の要因も含めて。
4 限界 ハード面の調整だけで完結した理由、あるいは限界を感じた点。再発傾向があった場合はその考察。
断定しすぎない
症例報告は1例の記述であり、因果を証明するものではありません。「〜により改善した」ではなく 「〜の調整後に症状の軽減がみられた」「〜が関与した可能性が考えられる」といった表現を用いてください。 自然経過の可能性に触れておくと、報告としての信頼性はむしろ高まります。 とくに骨癒合や組織修復のように 時間経過そのものが治癒に寄与する事象については、この配慮が欠かせません。
主張は、通院経過の記録から辿れるようにする
「◯回目が転機だった」と述べるのであれば、その根拠を 数値・患者の発言・検査所見と結びつけて示してください。 考察の主張とⅡ章の記録が食い違っていると、加筆では整合しない指摘となり、掲載が難しくなります。
また、患者が語ったことなのか、施術者が所見から解釈したことなのかを区別し、後者は 「推察である」旨を明記してください。 記録にない事柄を根拠として断定すると、読み手に誤解が生じます。
文献を引く場合
考察の主張を補強する文献があれば、本文中に 1) のように番号で示し、 Ⅴ. 参考文献に書式どおり記載します。 AMの作用機序(機械受容器への刺激と神経学的反射)や、画像所見と症状の乖離に関する知見は、AM症例報告でよく引かれる論点です。 引用は必須ではありません。 引くのであれば、必ず原著を確認してから記載してください。

GⅣ. 倫理的配慮の書き方必須

症例報告は、患者様の身体と経過を教材として公開させていただく行為です。 誰の同意を、いつ、どのように得たのかを報告のなかに明示することが、施術者と患者様の双方を守ります。 Ⅲ. 考察のあと、Ⅴ. 参考文献の前に置く独立した章で、分量は2〜3行で十分です。

テンプレートの記入欄

該当する選択肢を残し、当てはまらない選択肢は削除してください。

項目 記入欄
同意の取得時期 ☐ 施術開始前 ☐ 経過後 ☐ その他(   )
同意の取得方法 ☐ 書面 ☐ 口頭 ☐ その他(   )
未成年の場合 ☐ 保護者の同意を取得 ☐ 該当なし
報告への記載文 下記の文例から選び、症例に合わせて調整します。ここに書いた一文が、掲載時にそのまま報告へ掲載されます。

記載文の文例

施術開始前・成人 本症例の報告および公開について、施術開始前に患者本人へ説明し、口頭にて同意を得た。報告にあたり、個人が特定される情報は含めていない。
施術開始前・未成年 本症例の報告および公開について、施術開始前に患者本人および保護者へ説明し、保護者より同意を得た。報告にあたり、個人が特定される情報は含めていない。
経過後に取得 本症例の報告および公開について、施術終了後に患者本人へ説明し、書面にて同意を得た。報告にあたり、個人が特定される情報は含めていない。
画像を掲載する場合
(追記)
(上記に続けて)レントゲン画像の掲載についても別途説明のうえ同意を得ており、氏名・ID・撮影日はマスキングしている。
同意は、可能であれば施術開始前に取得してください。 経過が出てから依頼すると、患者様は断りにくい状況に置かれます。先に同意を得ておけば、記録の質と患者様の自由度の両方が守られます。 口頭での同意も有効です。同意を得た事実と時期が記録されていることが重要ですので、カルテの余白等に取得日と方法を控えておいてください。 患者様が 未成年の場合は、本人への説明に加えて保護者の同意を得ます。
なお、 経過が出た後に同意を取得した場合も、そのとおりに記載してください。記載が事実に沿っていることが優先されます。
院として全患者様から研究協力の同意を得ている場合も、 その旨を本文に記載してください。運用として存在していても、報告に書かれていなければ読み手には確認できません。

あわせて確認する3点

匿名化
氏名・詳細な地域名・学校やチームの固有名・特定につながる日付は記載しません。年齢は「30代」等でも構いません。大会名も、特定性が高い場合は一般的な表現に置き換えてください。
画像の扱い
レントゲン・CT・MRI等の画像所見を掲載する場合は、その旨を含めた同意が別途必要です。 画像に写り込む患者情報(氏名・ID・撮影日)は必ずマスキングしてください。顔・身体の写真も同様です。
医療との関係
診断名の断定は避け、医療機関で診断を受けている場合は「医師により〇〇と診断されている」と出所を明記します。専門医への受診勧奨を行った場合は、その判断も記載してください(Ⅰ. ⑤医科的所見・除外診断/⑥発症からの経緯)。医療機関の方針と異なる選択を患者がした場合は、 説明と選択の経緯を記録に残します。

H提出前チェックリスト

  • 患者の公開同意を得ている(未成年は保護者の同意)
  • Ⅳ. 倫理的配慮に、同意の取得時期・取得方法・保護者同意の有無を記入した
  • Ⅳ. 倫理的配慮の「報告への記載文」を記入し、該当しない選択肢を削除した
  • 氏名・地域・学校/チーム名など、個人が特定される情報を排除した
  • 掲載する画像に患者情報が写り込んでいない(画像掲載の同意も得ている)
  • Ⅰ. ⑤または⑥に医科的所見・除外診断(検査・診断の有無と結果、専門医受診の要否の判断)を記載した
  • ①タイトルに、症状と辿り着いた核心の両方が入っている
  • ①タイトル・②結果の表現が、最終回の数値と矛盾していない(NRSが残っていれば「完治」を用いない。予期不安の残存は可)
  • ②症例要約だけを読んで全体像がつかめる(数値が入っている)
  • ③はじめに が「この症例を取り上げる理由」に絞られている(2〜4行)
  • ⑦スケールの定義を明記し、全回で同じ条件で測っている
  • Ⅱ章②数値化に4指標を全回分記入し、⑦スケール表・⑧グラフ・本文の数値とすべて一致している(評定していない回は「未評定」)
  • ⑧グラフに4指標がすべて入り、上端の点が欠けていない
  • Ⅱ章に各回の日付と間隔が入っている
  • Ⅱ章③にレッグチェック/アイソレーションテスト・ストレステストの所見が記録されている
  • Ⅱ章③に調整後の再検査結果が記録されている
  • 実施しなかった検査・調整の欄に、空欄ではなく「未実施」または「該当なし」と記入した
  • Ⅱ章④の変位が、AMI標準のリスティング表記で統一されている(脊椎は棘突起指標)
  • AM調整の内容(ベイシック/アドバンス)と使用器具・フォース設定を記載した
  • PCRTを併用した場合、AM/PCRTを分けて記載した
  • Ⅲ考察が、③はじめに で立てた問いに答えている
  • Ⅲ考察の主張が、通院経過の記録から辿れる(推察は「推察」と明示した)
  • 断定的すぎる因果表現になっていない(自然経過の可能性に触れた)
  • 引用した文献がある場合、Ⅴに書式どおり記載した(なければ項目ごと削除)

Iよくある質問

公開の同意は、いつ・どのように取得すればよいですか?
可能であれば施術開始前に取得してください。経過が出てから依頼すると、患者様は断りにくい状況に置かれます。 口頭での同意も有効ですので、カルテの余白等に取得日と方法を控えておき、報告作成時にⅣ. 倫理的配慮へ転記してください。患者様が未成年の場合は、本人への説明に加えて保護者の同意を得ます。経過が出た後に取得した場合も、そのとおりに記載していただければ問題ありません。
「医科的所見・除外診断」には何を書けばよいですか?
医療機関での検査・診断を受けているか、受けている場合はその結果(画像所見・診断名など)を記載してください。 受けていない場合や、検査で異常が認められなかった場合も、そのとおりに書けば十分です。一文で構いません。あわせて、専門医への受診が必要と考えたかどうか、その判断の根拠にも触れてください。AMが対象とする領域には構造的破綻を伴う症例が含まれえますので、この記載がないと読者に安全性への配慮が伝わりません。Ⅰ. ⑥発症からの経緯に書いていただいても構いません。
CGI-S・CGI-Iは、Ⅱ章とⅠ章の両方に書くのですか?
はい。ただし二度手間ではなく、役割が違います。 Ⅱ章②数値化がその回の記録原本で、施術時に評定した値をその場で記入します。 Ⅰ章⑦のスケール表は、それを全回分並べた一覧で、⑧のグラフはこの表から作ります。報告をまとめる段階でⅡ章②から⑦へ転記し、 両者の数値が一致していることを確認してください。査読でもここを確認します。評定していない回は、空欄ではなく「未評定」と記入します。
実施しなかった検査の欄は、空欄のままでよいですか?
空欄にせず、 「未実施」または「該当なし」とご記入ください。空欄のままだと、実施していないのか記載漏れなのかが読み手に判断できず、査読で確認事項になります。一般的検査を実施したうえで異常がなかった場合は、「特記なし」ではなく 「実施、異常なし」と書くと、何を確認したうえでの判断なのかが伝わります。その回にまったく該当のない表は、表ごと削除して構いません。
回数の多い症例をまとめて書く場合、数値もまとめてよいですか?
検査所見や調整内容はまとめて構いませんが、 ②数値化の4指標だけは各回分を残してください。⑦のスケール表には全回分の数値が入るため、まとめてしまうと対応が取れなくなります。記入見本の5〜7回目が、まとめつつ数値を残す書き方の例です。
すでに作成中の症例報告があります。書き直しが必要ですか?
書き直しは不要です。 ①医科的所見・除外診断の一文を加える②Ⅱ章②の4指標とⅠ章⑦のスケール表の数値が一致しているか確認する③未記入の欄に「未実施」等を書き足すの3点をご対応いただければ、そのままご提出いただけます。Ⅳ. 倫理的配慮がまだない旧版で作成中の場合は、Ⅲ. 考察の後にその項目を加え、参考文献をお使いの場合はⅤに繰り下げてください。ご不明な点は事務局までご相談ください。
PCRTの調整も併用した症例は、どちらの様式で書きますか?
AMのプロトコルによる検査・調整が軸であれば、このAM症例報告の様式で構いません。AM臨床ノートは「AM × PCRT」症例も受け付けており、掲載済みのNo.01・No.02はいずれも併用症例です。テンプレートのⅡ章④にAM/PCRTの2ブロックがありますので、そこで書き分けてください。誤作動記憶の特定と書き換えが施術の軸だった場合は、PCRT症例報告の様式が適しています。
完治しなかった症例でも提出できますか?
できます。むしろ、改善が頭打ちになった症例、再発をくり返した症例は、読み手にとって学びの多い報告になります。大切なのは結果の良し悪しではなく、 経過が正確に記録され、その理由が考察されているかです。なお、最終回に症状(NRS)が残って終わった症例では、タイトルや要約で「完治」という語を使わず、「NRS 6→1へ改善」のように記録に沿った表現をお使いください。予期不安が1程度残っていることは、「完治」の記載を妨げません。
通院回数が2〜3回と少ない症例でも報告になりますか?
短期で改善した症例は、AMの特性を示す良い報告になり得ます。ただし回数が少ないぶん、1回ごとの検査所見と調整内容の記述の精度が問われます。検査の記録を丁寧に埋めてください。
レッグチェックの所見は、どこまで細かく書けばよいですか?
「どの反応から、どのレベルを絞り込んだか」がたどれる程度で十分です。ポジション1・2のどちらで差が現れたか、アイソレーションテスト・ストレステストで同定した部位はどこか。この2点があれば、AM受講者が同じ手順を追試できます。
医療機関の方針と異なる選択をした症例を報告してよいですか?
報告して構いません。ただし、 選択したのは患者・保護者であること、双方の方針のメリット・デメリットを説明したうえでの合意であったことを、経緯として明記してください。医療機関の判断を否定する書き方は避け、事実の経過として記述します。
グラフはどう作ればよいですか?
ExcelまたはGoogleスプレッドシートで、横軸に施術回数(日付を併記)、縦軸に0〜10をとった折れ線グラフを作り、画像としてWordに貼り付けます。Y軸の最大値を10.4程度にすると、上端の点が切れません。4指標をすべて重ね、凡例で区別できるようにしてください。
提出後はどのような流れになりますか?
提出 → 受領確認 → 精査(査読)→ 必要に応じて修正依頼 → 再査読・承認、という流れです。複数名の査読者が所定のシートに記入し、編集長が集約して判定します。指摘は編集部が匿名化のうえ 1通の「修正依頼書」にまとめてお送りしますので、査読シートそのものが届くことはありません。依頼書は 【必須修正】(掲載のために対応が必要)と 【推奨修正】(直せばより良くなる)に分かれています。査読は「弾くため」のものではなく、掲載に向けた修正のサポートとして行っています。AM臨床ノートに掲載される際は、ANJ代表による臨床解説が付されることがあります。
AM症例報告 標準フォーマット・作成ガイド
Activator Network Japan(ANJ)事務局 〒810-0001 福岡市中央区天神3-3-6 天神サンビル7F / TEL 092-732-4533
アクティベータ・メソッド(AM)/ 監修:保井 志之(AMI公認 日本地区ディレクター・ANJ代表)