陸上選手の腰椎分離症
陸上選手の腰椎分離症
―― コルセット固定・3ヶ月安静の指導下にありながら、競技を継続しつつ神経関節機能障害の調整によって完治に至った一症例
報告者(施術者)情報
- 報告者氏名
- 倉持 怜史
- 所属(施術院名)
- 接骨院くら
- 臨床歴(開業歴)
- 14年目
- AM歴
- 10年
- PCRT歴(併用症例)
- 6年
- 報告日
- 2026年5月31日
症例要約
- 主訴
- 走ると腰が痛む/全力で走れない/腰部回旋・前屈時に腰が痛む
- 結果
- 完治(症状の程度 NRS 6→0、予期不安 8→1、最終 CGI-I 1=著明改善)
- 通院回数
- 9回
- 治療期間
- 2026年3月28日 〜 5月2日(約5週間)
- 1回の治療時間
- 15分以内
- 経過の要点
- 3回目までのアクティベータメソッド・PCRTハード面施術で CGI-I 2(良くなった)まで改善。その後、経過に多少の波はあるものの順調に改善し、9回目の施術時に完治に至った。6回目の施術後、整形外科での再検査により、画像上でも腰椎分離部の骨癒合が順調に回復していることが確認された。
- 特記事項
- 初診時、整形外科でコルセット固定・3ヶ月安静を指導されていた。2つの治療方針のメリット・デメリットを説明し、患者・保護者の選択のうえで、競技を継続しながらの施術を行った。
はじめに
整形外科で腰椎分離症(第4腰椎・右)と診断され、コルセット固定と3ヶ月の安静を指導された中学生アスリートである。競技を続けたいという本人の希望と、示された治療法への疑問から来院された。
安静固定とは異なる方針(競技を継続しながら神経関節機能の調整を行う)を、患者・保護者の理解と選択のうえで実施した場合に、症状・パフォーマンス・画像所見がどのように推移するのか。「分離しているから痛む」という構造中心の前提を、経過がどこまで支持するのかを確かめたいと考え、本症例を報告する。
主訴・患者の愁訴 / 患者情報
- 走ると腰が痛む
- 全力で走れない
- 腰部回旋・前屈時に腰が痛む
- 年齢・性別
- 14歳・男性
- 職業
- 学生(陸上競技・短距離)
- 患者の特徴
- 心配性/人の話を聞かない/何を考えているか分かりにくい/陸上が大好き
- 既往
- 左坐骨剥離骨折(2025年3月)。数ヶ月走れない期間があった。
- 発症時期
- 初診時の3週間前
発症からの経緯(症状歴)
以前から腰の張りを感じていた。3月11日の坂ダッシュで急に痛みが強くなり、整形外科を受診。レントゲン画像検査により腰椎分離症(第4腰椎・右)と診断され、コルセット固定のうえ3ヶ月安静にするよう指導を受けた。陸上大会に出場したいという気持ちと、示された治療法に疑問を感じていたことから、コルセットをつけた状態で当院へ来院された。
画像所見
評価スケールの定義とスケール表
| 評価指標 | 1回 3/28 |
2回 3/31 |
3回 4/4 |
4回 4/8 |
5回 4/11 |
6回 4/15 |
7回 4/18 |
8回 4/25 |
9回 5/2 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 症状の程度(NRS) | 6 | 4 | 3 | 2 | 2 | 3 | 2 | 1 | 0 |
| 予期不安 | 8 | 6 | 4 | 3 | 3 | 3 | 3 | 1 | 1 |
| CGI-S(重症度) | 5 | 4 | 4 | 2 | 2 | 2 | 2 | 1 | 1 |
| CGI-I(改善度) | ― | 3 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 1 | 1 |
NRS・予期不安は0〜10、CGI-S(重症度)・CGI-I(改善度)は1〜7で評定(数値が小さいほど良好)。CGI-I は第2回以降に評定。
治療経過グラフ(スケールの推移)
通院経過(回ごとの記録)
- 腰が痛む
- 練習は痛くなってからしていない
- いつもコルセットをつけている
AM調整:ベイシック / 使用器具:アクティベータⅤ
| 神経関節機能障害部位 | 詳細部位 | 変位(リスティング) | 調整後 |
|---|---|---|---|
| 骨盤 | 腸骨 | PI | 陰性化 |
| 腰椎部 | L5・L4 | PL | 陰性化 |
| 胸椎部 | T12・T4 | PL | 陰性化 |
| 頚椎部 | C5 | PL | 陰性化 |
| 頚椎部 | C1 | 側方 | 陰性化 |
PCRTハード面調整(併用):PCRT意念調整法+脳リンク(右腰椎椎間関節靱帯系)
- 良くなった
- 日常生活ではほとんど問題ない
- 朝の起き上がりで痛む
- 治療方針について気持ちが決まらず、母親と相談中
AM調整:ベイシック / 使用器具:アクティベータⅤ
| 神経関節機能障害部位 | 詳細部位 | 変位(リスティング) | 調整後 |
|---|---|---|---|
| 骨盤 | 腸骨 | PI | 陰性化 |
| 腰椎部 | L5 | PL | 陰性化 |
| 胸椎部 | T4 | PL | 陰性化 |
| 頚椎部 | C5 | PL | 陰性化 |
PCRTハード面調整(併用):PCRT意念調整法+脳リンク(右腰椎椎間関節靱帯系)
- 朝の痛みが前回より引いた
- コルセットを外して生活している
- 自宅でやっておいた方が良いことを教えてほしい
AM調整:ベイシック、右股関節・恥骨 / 使用器具:アクティベータⅤ
| 神経関節機能障害部位 | 詳細部位 | 変位(リスティング) | 調整後 |
|---|---|---|---|
| 骨盤 | 腸骨 | PI | 陰性化 |
| 腰椎部 | L5 | PL | 陰性化 |
| 胸椎部 | T4 | PL | 陰性化 |
| 頚椎部 | C7 | PL | 陰性化 |
| 右下肢 | 右股関節 | 外方 | 陰性化 |
| 右股関節 | 上方 | 陰性化 | |
| 骨盤 | 右恥骨 | 外方 | 陰性化 |
PCRTハード面調整(併用):PCRT意念調整法+胆経
- 状態良い
- 練習後に腰の痛みが出たがすぐに落ち着いた
- 予期不安がある
- 4月11日の大会(100M)に出場予定
AM調整:ベイシック、右股関節・仙骨 / 使用器具:アクティベータⅤ
| 神経関節機能障害部位 | 詳細部位 | 変位(リスティング) | 調整後 |
|---|---|---|---|
| 骨盤 | 腸骨 | PI | 陰性化 |
| 腰椎部 | L5 | PL | 陰性化 |
| 胸椎部 | T4 | PL | 陰性化 |
| 頚椎部 | C7 | PL | 陰性化 |
| 右下肢 | 右股関節 | 外方 | 陰性化 |
| 骨盤 | 仙骨 | 上方 | 陰性化 |
| 仙骨 | 回旋 | 陰性化 |
PCRTハード面調整(併用):PCRT意念調整法+胆経
- 大会に出場できた
- 次の大会は4月29日
- 腰の不安はほとんどない。練習量を上げていく
検査・調整は初回〜4回目と同様に継続。5〜7回目はNRS 2→3→2と安定して推移した。
- 練習に全て参加した
- 練習の最後の頃に腰痛が少し出た
- 練習後に反対側の左腰が痛くなった
- 朝起きてすぐに腰が痛む
- レントゲン検査で分離症が癒合してきて良くなっている
- 朝起きて動き出しに腰が痛むが、すぐに良くなる
- 練習中、調子が良い
AM調整:ベイシック / 使用器具:アクティベータⅤ
| 神経関節機能障害部位 | 詳細部位 | 変位(リスティング) | 調整後 |
|---|---|---|---|
| 骨盤 | 腸骨 | AS | 陰性化 |
| 腰椎部 | L4 | PL | 陰性化 |
| 胸椎部 | T8 | PL | 陰性化 |
| T4 | PL | 陰性化 |
PCRTハード面調整(併用):PCRT意念調整法+脳リンク
- 29日の大会、調子が良かった(自己ベスト更新)
- 調子良好
AM調整:ベイシック / 使用器具:アクティベータⅤ
| 神経関節機能障害部位 | 詳細部位 | 変位(リスティング) | 調整後 |
|---|---|---|---|
| 骨盤 | 腸骨 | PI | 陰性化 |
| 腰椎部 | L4 | PL | 陰性化 |
| 胸椎部 | T8 | PL | 陰性化 |
PCRTハード面調整(併用):PCRT意念調整法(キーワード組み合わせ)+脳リンク
考察
今回の症例は、運動部の中学生によくみられる腰椎分離症の症例である。一般的には、整形外科でレントゲン画像検査を行い、異常がなければ MRI・CT へと進む。本症例ではレントゲン画像検査で腰椎分離症の診断がつき、コルセット固定をして3ヶ月安静の指導を受けた。これが一般的な整形外科の治療法である。
コルセット固定をし、日常生活で腰部の可動域を制限して生活することで骨癒合を期待することが目的であるが、その背景には「腰椎が分離しているから痛みがある」という前提がある。臨床では、コルセット固定・安静を継続しても骨癒合するかどうかは分からない。さらに、たとえ骨癒合しなくても痛みや可動域が改善し、パフォーマンスも改善する選手が多くみられる。ある研究では、画像所見と痛みの関連は因果関係として解釈すべきではなく、あくまで若年〜中年層における腰痛のバイオマーカー候補として位置づけられるとしている。1)
初診時、患者は母親と一緒に来院し、ともにとても不安そうであった。腰椎分離症の診断と安静指導を受けてきたものの、他の方法はないかと模索して来院されたことが印象的であった。通常とは異なる道のりではあるが、臨床では神経信号の誤作動調整を繰り返し施すことで、本症例のように症状改善・パフォーマンス向上・骨癒合促進へと進む経過に、当たり前のように遭遇する。治療方針について患者・母親の理解を得ること、メリット・デメリットをよく説明し、患者自身に選択してもらうことがとても重要である。
アクティベータメソッドの作用機序として、脊椎への機械的刺激が神経生理学的変化を引き起こすことが複数の研究で示唆されている。AMI社による基礎研究・動物実験・ヒト生体内研究の蓄積から、アクティベータ調整器具が脊椎共鳴および機械受容器の刺激(共活性化)を通じて脊椎矯正に寄与するという理論的根拠が提示されている。2) 本症例においても、椎間関節周囲の機械受容器への刺激が局所の筋緊張を緩和し、神経信号の正常化を促したと考えられる。
骨癒合の進行については、自然経過で癒合が進んでいることも考えられるが、練習をこなしながらもAM調整・誤作動信号の調整を行うことで、骨癒合・機能改善が進んでいく可能性が示唆される。
今回の施術のターゲットは主にエネルギー系である。神経関節機能障害・神経信号・経絡・チャクラ・オーラの誤作動を生体反応検査法で検出し、正常な信号へ書き換えていく。このエネルギー系はもちろん画像検査で見つかるレベルのものではないが、アクティベータメソッド・PCRTの施術で神経信号の誤作動を調整することは有効であることが示唆される。これからも同様の症例を蓄積し、その有効性を検証していきたい。
参考文献
- Brinjikji W, Diehn FE, Jarvik JG, Carr CM, Kallmes DF, Murad MH, Luetmer PH. MRI Findings of Disc Degeneration are More Prevalent in Adults with Low Back Pain than in Asymptomatic Controls: A Systematic Review and Meta-Analysis. AJNR Am J Neuroradiol. 2015;36(12):2394-2399. doi:10.3174/ajnr.A4498 https://www.ajnr.org/content/36/12/2394
- Osterbauer PJ, Fuhr AW, Keller TS. Description and Analysis of Activator Methods Chiropractic Technique. In: Lawrence DJ et al. (Eds.): Advances in Chiropractic. 1994. activator.com